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マザーテレサの列聖から連想

 もう4日経ってしまったが、9月4日にマザーテレサが列聖され、日本の一般新聞もそれを大きく取り上げた。そして、今日はカトリック新聞9月11日号がヴァチカンにおけるその列聖の様子を一面に大きく掲載した。それは現代におけるこの聖女の存在意義がいかに大きいかを示している。しかし、その生涯やメッセージ、その影響等はもうよく知られている。だから、私が言及するまでもない。ただこの列聖にあたり、ある連想が私の脳裏をよぎったので、それを書いておこうと思う。
 
 私は聖マザーテレサが旧ユーゴスラビア出身であることは知っていた。しかし、そのスロベニアあたりかな、ま、どうでもいいやと、正確な出身地にはこれまでほとんど関心がなかった。しかし、今回のニュースで、それがマケドニア共和国であることを知った。そして、それは私に二人の偉大な人物を連想させたのだ。一人はアレキサンドロス大王、もう一人は異邦人の使徒聖パウロだ。

 アレキサンドロス大王は一般史でも有名だが、聖書にも記述がある。ユダヤ人のマソラ聖書にはないが、ギリシャ語の七十人訳ではマカバイ記上の第1章に、彼がペルシャとメディアのダレイオス大王を倒して、中東全域を征服したことが書かれている。紀元前4世紀のことだが、その支配はインダス川以西の中東からエジプトにまで及び、それ以前に出現したどの王国よりも強大であった。
 ところで、そのアレキサンドロスはマケドニアの王だったのだ。むしろマケドニアという国名は、彼によって世界史に記憶されるようになったといっても過言ではなかろう。今もエジプトのアレキサンドリアのように、いくつかの国には彼の名をもらった都市がある。それは彼が行った征服の痕跡だ。彼の出現は世界の成り行きに大きな影響を与えた。思うに、もしも彼が生まれていなかったら、世界はずいぶん違ったものになっていたに違いない。
 それから約2300年後、聖マザーテレサも同じマケドニアに生まれ、その名と業績は世界中に知れ渡った。そして、現代に大きな影響を与えている。その点では共通だが、二人には大きな違いがある。アレキサンドロスは残酷な権力者として古代世界に君臨したが、聖マザーテレサは愛の使徒として現代社会で謙虚に人々に仕えた。彼は敵を容赦なく殺したが、彼女は死にゆく人々を看取った。彼は人々に怖れられたが、彼女は人々に敬慕され、彼女を見倣う人は無数にいる。

 私が連想したもう一人は使徒聖パウロだが、彼はマケドニア人ではなく、キリキアのタルソ(現在のトルコ南部)生まれだ。では、マケドニアという国名がなぜ彼を連想させたかと言うと、2回目の宣教旅行のとき、彼はトルコのトロアスである幻を見たが、その中に現れたのが一人のマケドニア人であって、それがきっかけとなって彼が海峡を越え、ギリシャに足を踏み入れたからだ。つまり欧州への宣教の第一歩はその幻のお陰で始まったからだ。
 幻の中に現れたその人は聖パウロに懇願して言った。「マケドニア州に来て、わたしたちを助けてください」と(使徒言行録16.9)。そこで使徒はマケドニアへ出発したのだが、ここで使徒言行録の記述に興味深い変化が起こる。「パウロが幻を見たとき、わたしたちはすぐに出発することにした。マケドニア人に福音を告げ知らせるために、神がわたしたちを召されているのだと、確信するに至ったからである」と、それまでは3人称複数だった叙述が、ここからは1人称複数に変わるのだ。
 つまりここからは聖ルカが加わり、そこからの使徒言行録は彼が自ら見分したことを記録したのだということがわかる。しかし、ここにはそれよりもずっと重要な事実がある。それはヨーロッパへの福音伝播が、まさにこのマケドニア人の幻から始まったという歴史的事実だ。それはユダヤから出てサマリア、シリア、トルコに広まっていた主の福音が、それらより更に広大きなヨーロッパに渡り、全世界へと広がり始めたことを意味した。
 それから約1950年後の現代、マザーテレサという聖人は主の福音を受け入れたそのマケドニアから、福音の素晴らしい結実として生まれた。かつて幻の中のマケドニア人は聖パウロに「来て、わたしたちを助けてください」と懇願したが、今はマケドニア生まれの聖マザーテレサに教会が「私たちを助けてください」と祈る。彼女の生涯は真の福音的生き方を示し、形式主義、教条主義、宗教習慣等に劣化しやすい信仰生活に、生き生きした福音の命を吹き込んでくれるからだ。
 連想はこうして2千年の時空をつないでくれた。
 
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プロフィール

余生風

Author:余生風
「聖書温故知新」
「思いつくまま、気の向くまま」
折にふれ「水彩画」も紹介してまいります。

「手を貸す運動」創始者
社会福祉法人「地の星」理事
元玉川大学教授

佐藤正明(余生風)ホームページ
「絵画と心」

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