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未来の選択

 5月19日から27日までオランダに行っていたが、帰国して最初に見たテレビ場面はオバマ米大統領の広島訪問演説だった。聞いて感動した。とくに結びの言葉が鮮烈に記憶に残った。彼はこう語った。
 「世界はここで永遠に変わりました。しかし今日、この街の子ども達は平和に暮らしています。なんと貴いことでしょうか!それは守る価値があり、すべての子どもに拡大していく価値のあるものです。私たちが選ぶことのできる未来とはそれです。それは広島と長崎が『核戦争の夜明け』ではなく、私たちの道徳心の目覚めの出発点として知られるような未来です。」(新聞の訳を改訳)
"The world was forever changed here. But today the children of this city will go through their day in peace. What a precious thing that is. It is worth protecting, and then extending to every child. That is a future we can choose, a future in which Hiroshima and Nagasaki are known not as but as the start of our own moral awakening."

 朝日新聞5月28日1面の解説は、オバマ米大統領がこの結びで、「広島と長崎は『核戦争の夜明け』ではなく、私たちの道徳心の目覚めの始まりだ」と述べていたが、よく読むとそれは少しずれた解釈に思える。この結びの根幹的コンセプトは、核なき未来の選択にある。
 それはこう呼びかけたのだ、と私は見る。あの悲惨があった広島では今、子ども達が平和に日々を送っている。その素晴らしさ、貴さこそ守るべき価値のある未来で、それこそが全世界の子たち、すなわち全世界に波及させるべきすべ未来だ。広島と長崎は、両市が「核戦争の夜明け」としてではなく、核戦争の廃絶を目ざす「私たちの道徳心の目覚めの出発点」として知られるような、そういう望ましい未来の証しだ。私たちはそういう未来の選択をうながされている、と。

 彼の演説には人類の未来を思う理想の哲学があり、誠実さと人情がにじみ出ていた。安倍首相も続いて演説した。だが、4日後の朝日川柳には「歴然と首相の言葉の貧しさよ」という一句があった。情けないかな、その通りだった。聞いた者の心を打たなかったのは、言葉だけが上滑りし、心底から人を敬い愛する心が乏しいからではないか。それに、政治的思惑が見え見えだった。
 
 演説翌日の朝日新聞朝刊には故トルーマン米大統領の孫を取り上げた記事があった。彼はオバマ大統領に広島訪問を働きかけた一人でもあり、息子を通して被爆少女佐々木禎子さんのことを知って以来、原爆による被害と悲惨さを語ってきたそうだ。私は持論として、原爆投下を命じた故トルーマン米大統領も人道に反する罪で裁かれるべきだと、何度もコラムに書いてきた。しかし、彼の孫の行動を知って、そういう糾弾はもうやめることにした。裁きは癒さないが、赦しは癒すからだ。

 ヨーロッパへの往復はやはりきつかった。何となく疲れがとれず、いろいろなことがまだ処理しきれないでいる。しかし、オバマ米大統領の歴史的な広島訪問演説は記録しておかなくてはと思ってこれを書いた。6日遅れではあるが、"Mieux vaut tard que jamai."
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プロフィール

余生風

Author:余生風
「聖書温故知新」
「思いつくまま、気の向くまま」
折にふれ「水彩画」も紹介してまいります。

「手を貸す運動」創始者
社会福祉法人「地の星」理事
元玉川大学教授

佐藤正明(余生風)ホームページ
「絵画と心」

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